旨みの宝庫として味付けを決める和食の出汁

世界にも注目される美味しさの秘訣

日本の和食の味を決めるのは出汁といってもいいほど、食材を煮たり、お吸い物や味噌汁などの幅広い和食に味のベースとして使われるのが出汁です。
旨みたっぷりの出汁は味わいの決め手となるだけでなく、香りや風味として五感でも感じられるものです。
出汁を利かせることで気にされる方も多い塩分も抑えることができ、余分な醤油や塩などをたくさん使わなくても美味しくいただくこともできます。
和食は世界遺産にも登録されて、世界でも注目される見た目にも美しく、ヘルシーな食事ですが、出汁の文化も他国では見られないものです。
西欧料理でも余り野菜や香味野菜を使ったブーケガルニでスープをとったり、鶏や豚、牛の骨や魚の骨などを使って日本の出汁にあたるスープをとることはあります。
ですが、日本の場合、生の食材ではなく、発酵させた食材を用いて出汁をとっている点に独特の文化が見られるのです。

動物性の旨み

和食で出汁といえば、一番に思いつくのが鰹節ではないでしょうか。
鰹だしだけを提供している、出汁バーなども登場するくらい日本人にはなじみがあり、海外からの旅行者にも話題を集めています。
そのままでも美味しく、醤油と和えてご飯に混ぜたり、冷奴や納豆、蕎麦などのトッピングにも欠かせない食材です。
鰹節をはじめ、サバ節など地域や料理の種類によって、出汁をとるものを使い分けたりもしますが、生の魚や残った骨などをそのまま使うのではなく、鰹や鯖を丁寧に下処理して蒸して干して乾燥させ、熟成、発酵させたものを使う点に西洋のスープ文化との違いがあります。
動物性の出汁としては、海に囲まれた日本らしく魚が中心で、小さなイワシを茹でて干したり、天日干しにした煮干しをはじめ、地域によってはトビウオなど豊富に獲れる魚を干して出汁として使うところもあります。

植物性の旨み

和食の出汁というと鰹節や煮干しがイメージされますが、忘れてはならないのが干椎茸や昆布などの植物性の旨み成分です。
植物性の出汁も生の椎茸や生の昆布ではなく、いったん乾燥させて発酵させたものを使うのが特徴です。
発酵させることにより、生の食材にはない旨み成分が現れたり、旨み成分がアップします。
料亭などでは動物性の旨みと植物性の旨みをブレンドし、鰹節またはサバ節に干椎茸や昆布を合わせて用いることが多いですが、動物性のものがNGのお寺の精進料理では干椎茸や昆布といった植物性の出汁だけが用いられます。
料亭でもご家庭でも、お料理の種類や食材に合わせて出汁の素材を選び、ブレンドの仕方をアレンジしながら美味しい和食が出来上がっていきます。

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